1 災害の特徴から考えよう 3 大雨・台風 知る 線状降水帯による集中豪雨 線状降水帯とは? 次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域を線状降水帯といいます。毎年のように線状降水帯による顕著な大雨が発生し、数多くの甚大な災害が生じています。この線状降水帯による大雨が、災害発生の危険度の高まりにつながるものとして社会に浸透しつつあり、線状降水帯による大雨が発生している場合は、危機感を高めるためにそれを知らせてほしいという要望があります。発生メカニズムに未解明な点も多く、今後も継続的な研究が必要不可欠です。 浸水害 浸水害とは、大雨により排水が間に合わずに用水路や下水があふれて氾濫し、住宅などが水につかる災害のことです。浸水害で危険になりそうな場所は、周りより低い場所や、アンダーパス、地下室などです。 強い雨が降る地域が線状に長く伸びています。この状態が繰り返し出現し、局地的に大きな災害をもたらします。 線状降水帯が発生すると、強い雨が長い時間にわたって降るため、局地的に急激に深刻な災害をもたらす場合が少なくありません。 集中豪雨の危険を知っておきましょう 線状降水帯が発生するなどして激しい雨が降ると、まわりから雨水が流れ込むことにより、数分から数十分という短時間で河川が危険水域を超えることがあります。 ●ひざ下まで水が来る前に避難 浸水時の歩行可能な水位は、ひざ下が目安です。水位が低くても水の勢いで動けなくなる危険があるので早めの避難を心掛けます。 ●冠水している道路は危険 冠水した道路は、マンホールや側溝のふたが外れて転落する可能性があります。冠水箇所を通る際は、傘などで地面を探りながら移動します。 線状降水帯とゲリラ豪雨 新聞やテレビなどの報道では、「ゲリラ豪雨」という言葉にもしばしば出会います。いずれも狭い地域に激しい雨が降る気象現象ですが、ゲリラ豪雨は局地的・短時間の集中豪雨で、線状降水帯が生じた時のように長時間にわたって大雨が降り続くことはありません。なお、ゲリラ豪雨は、マスメディアが用いる表現で、正式な気象用語ではありません。
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