1 災害の特徴から考えよう 2 地震 知る 地震・津波を知る 地震は、断層運動によって起こる 日本列島の地下では、プレート相互の運動によって大きな力が加わっています。それにより、地下を構成する岩石は次第に変形し、ひずみが蓄えられていきます。このとき最初に耐え切れなくなった場所(震源)から破壊が始まり、大きな亀裂(断層面)となって広がります。この断層のずれ(すべり)が地震波を発生させ、揺れのエネルギーはこの断層面全体から放出されます。この領域は「震源域」と呼ばれ、余震が起こる領域と同じです。 本震の後も、しばらく余震の発生が続く 大きな地震が発生すると、必ず、その震源域内で余震が続いて発生します。本震の発生によって破壊された領域では、新たにひずみが加わり、それによって余震が引き起こされるのです。これらの余震によって、本震の揺れで強度が低下した建造物が壊れたり、不安定な崖や斜面が崩れたりすることがあるので注意しなくてはなりません。通常の地震では、余震が起こる数は10日で1/10、20日で1/20程度に減ります。しかし、東北地方太平洋沖地震では、震源域が広いことから、これまで日本で起こった大地震と比べて、余震の数が数倍も多いため、何か月も余震が続きました。この地震の場合、海溝部の震源域以外の地域でも、誘発された地震が多数起こりました(グラフは、気象庁発表のデータを基に作成)。 海底の変動が津波を起こす 太平洋プレートは、東北地方において、日本海溝で北アメリカ(北米)プレートの下に沈み込んでいます。蓄えられたひずみのエネルギーによって、北米プレートが上方へはね返る断層運動で平成23(2011)年の東北地方太平洋沖地震が起こりました。その際、 断層運動による海底の隆起が海面を盛り上げることにより、津波が起こったのです。盛り上がった海面は、元に戻ろうとして振動しますから、その振動が四方へ伝わることにより、津波が広がっていくのです。津波の伝わる速さは、海底までの深さによって決まります。深いほど速く伝わり、浅くなると遅くなります。津波が海岸に近付くほど進む速さが遅くなり、相次ぐ波となって打ち寄せます。しかし、波のエネルギーが小さくなることはありませんから、その分、波長は短く、波高は高くなっていくのです。 ●東北地方太平洋沖地震による被害状況 死者 19,747人 行方不明者 2,556人 負傷者 6,242人 住家全壊 122,005棟 住家半壊 283,156棟 消防庁災害対策本部[令和3(2021)年3月9日現在]
元のページ ../index.html#10